コーポリアルマイム
舞台芸術学校
未来のアクター・クリエーターを育む
エティエンヌ・ドゥクルーが構築した役者の芸術「コーポリアルマイム(仏:ミーム・コーポレル・ドラマティック」に特化した世界でも数少ない学校の一つです。カラダでドラマを演じる表現者として活躍するための力強い基盤を築くことを目的とした専門的なプログラムを編成しており、「3年間フルタイムコース」「平日オープンクラス」「週末ワークショップ」「コーポリアルマイム勉強会」「訪問ワークショップ」を提供しています。役者の身体性を重視したコーポリアルマイム特有のトレーニング・メソッドを通じて、技術力に裏打ちされた表現力を育み、カラダで魅せるアクターに不可欠な能力を身につけていきます。また、公演に向けた取り組みの中では、個々の企画力・プロデュース力を高め、アクター・クリエーターとして自立するための実践的なノウハウを学んでいきます。
コーポリアルマイムについて
コーポリアルマイム(英:Dramatic Corporeal Mime|仏:Mime Corporel Dramatique)はマルセルマルソーやジャンルイバローの師として知られる20世紀フランス演劇界の巨匠であり、近代マイムの父と称されるエティエンヌ・ドゥクルーが構築した役者の芸術(アクター・アート)です。
「演劇の本質は役者であり、役者の本質は身体である。よって演劇は身体の芸術である」
数多くの芸術から成り立つ総合芸術と言われる演劇の中で、役者は戯曲をはじめとする他の芸術に依存する以前に、まず自らの表現媒体による独自の芸術を確立し、アーティストとして自立する必要があると感じたドゥクルーは、役者の身体を基点とする革新的な演劇様式「コーポリアルマイム」を築き上げました。
人間の様々な内的ドラマを身体で表現することから「思考する身体の芸術」と呼ばれるコーポリアルマイムは、役者が自らのアイディアを具体化するための体系的なテクニックを紹介すると共に、戯曲主体の演劇とは根本的に質の異なるレパートリー作品や創作プロセスを有しており、身体の創造性から具体化される役者主体の演劇のあり方を提示しています。
フィジカルシアターの先駆けとも言えるコーポリアルマイムは、表現手法の多様化、デジタル化が進む現代においても、その洗練された身体性によって「演劇」を改革し、開拓し続ける芸術です。
多くの西洋演劇の歴史家は、ドゥクルーをゴードン・クレイグ(超人形論)、メイエルホリド(ビオメハニカ)、スタニスラフスキー(行為の熟練者としての俳優論)、チェーホフ(心理的ジェスチャー)、グロトフスキー、アルトーなどと同じ演出家、教育者のグループに属すると考えていますが、エティエンヌ・ドゥクルーが他と異なる点は、彼が身体を演劇の基盤とするべきだと考えただけでなく、役者の身体表現それ自体が新しい芸術様式に成り得ると断言したことです。
"マイムには他の芸術を仕上げるよりも、他にやるべき仕事がある"
エティエンヌ・ドゥクルー
コーポリアルマイムは、役者が演技を組み立てる際の「身体のあり方」と「行為のやり方」を詳細に分析した体系的なメソッドを提供することで、「できること」だけでなく、「やりたいこと」を実現するツールを演技者に与えてくれます。コーポリアルマイムは個人の想像力に働きかけ、自らの理想を追求することを促す芸術です。
コーポリアルマイム・アクターは、彫刻と彫刻家の両方を演じるように、造形的で洗練された演技を削り出し、人間の最も実用的な行為から、もっと精神的な活動まで描写します。その様式化された演技は身体の動きという限られた手段によって、人間の精神の働きを示唆し、多くの芸術に見られるような象徴や比喩を用いた表現を生み出します。